小林 宏之
危機管理専門家。航空評論家(元日本航空機長)
講師カテゴリー
- 経営・ビジネス
- リーダーシップ・マネジメント
- 働き方改革・ワークライフバランス
- コンプライアンス・CSR
- ビジネス研修
- リーダーシップ・マネジメント
- コミュニケーション・世代間ギャップ
- 安全大会
- 防災・危機管理
- 健康管理
- セルフマネジメント
- モチベーション
- 夢・希望・挑戦
- 医学・医療・健康
- 健康・運動
- 環境・防災・防犯
- 環境問題
- BCP
出身地・ゆかりの地
千葉県 愛知県
プロフィール
1986年5月 日本航空入社 2010年3月 日本航空退職
<パイロット歴>
乗務した機種 B727 DC8 B747 DC10 8747-400
乗務した路線 日本航空が運航した全ての国際路線及び主な国内線:総飛行時間:18500時間
首相特別便機長 湾岸危機時邦人救出機機長
<その他>JAXA日本人宇宙飛行士安全検討チーム
入社以来42年間一度も病欠、自己都合でスケジュールの変更なし
<主な社歴>
飛行技術室長、運航安全推進部部長、運航本部副本部長
首相特別便機長(竹下首相、海部首相、小泉首相)
湾岸危機時の邦人救出機機長
宇宙航空研究開発機構:日本人宇宙飛行士安全検討チームの一員
<退職後の主な略歴>
国の交通政策審議会委員
公益社団法人日本航空機操縦士協会副会長
慶応大学大学院非常勤講師
原子力安全推進協会講師
航空評論家としてテレビ・ラジオ出演
危機管理・リスクマネジメント等の講師
「エンジン01文化戦略会議」の構成員
<所属学会等>
エンジン01文化戦略会議、日本リスクマネジメント学会 日本抗加齢医学会
講演テーマ
【OODA 危機管理と効率・達成を叶えるマネジメント】
OODAとはObserve―Orient―Decide―Actのループの頭文字で、具体的には、情報収集―状況判断(認識)-意思決定-行動の一連のマネジマントのことです。変化や予期せぬこと、想定外の事態など、非常時、危機管理に対応するための意思決定の思考術です。
一方、業務改善、効率化、品質改良などのマネジメントサイクルであるPDCAは、広く日本社会にも定着していますが、これは平時のマネジメントサイクルであり、PDCAとOODAの決定的な違いは、PDCAは計画が出発点であるのに対してOODAは観察(情報収集)と状況判断(状況認識)です。さらに、PDCAとOODAとは、一連のループ、マネジメントサイクルに要する、求められる時間には桁違いの差があります。
政治家や官僚、また企業など昨今のさまざまな不祥事への対応例からOODAの仕組みを解説し、新時代に必要なリーダー像を構築していきます。
【トップの危機管理】
危機管理は何を守るのかという重要度の選択
危機管理の基礎は健康管理
危機管理の心構えは謙虚心と自律心(神仏を尊び神仏に頼らす)
トップの危機管理は平時と非常時の切り替えが対峙(平時はAfter You!、非常時はFollow Me)
平時には完璧を目指し、非常時にあ絶対100点満点を狙わないこと
最悪の事態を防ぐためには目先嫌われる決断も必要
トップの重要な仕事は決断、決断には覚悟が伴なう。覚悟とは決断した結果起こり得る全てを受容れること
危機管理には無駄も必要
【リーダーシップ】
リーダーはまず自分自身をコントロールできてはじめて組織をマネジメントできる
今、求めてられるリーダーシップは「役割遂行型リーダーシップ」リーダーだけがリーダーシップを発揮するのではなく、各人が専門、役割に応じて言うべきことを口に出して言える雰囲気が大切。
リーダーに不可欠な条件(機長としての経験から)
自己コントロール
健康管理と危機管理
リーダーシップ
持続する強い目的意識
決断力
コミュニケーション力
理性と感性のバランス
明るく元気であること
【リスクマネジメント】
リスクマネジメントは健康管理と全く同じ考え方、取り組み方である。
リスクマネジメントは未然防止ー被害局限対応ー回復―再発防止の一連のマネジメントであり、健康管理は予防ー治療ー快復―再発防止のマネジメントであることから頷ける。
リスクマネジメントも健康管理も未然防止と予防が大切でポイントは常日頃の考え方、行動の習慣である。
早期発見、早期治療の大切さも全く同じであり、これを怠ると”リスクマネジメントの失敗例で指摘される”Too Little Too Late”となる。
【プロフェッショナル】
社会に出れば誰でもプロ。プロとは仕事をすることにより報酬を得ているひと。
報酬には、給料(収入)、能力の向上、やりがい・生きがい、人間的成長などがある
どの職業でも誰でもその気になれば一流のひとになれる。しかも特別なことをするのではなく、誰でもできる当たり前にのことをそこまでやるのかというほど徹底すること。
天職とは縁あって就いた仕事に打ち込んでいるうちに、やりがい、いきがいを感じたとき、それが天職。
能力とは使い方。手足、口、耳、頭、心の使い方。量を質に変換することが能力向上のポイント。
【安全管理】
安全はハード(施設・機材等)、ソフト(規定類、制度、教育・訓練)、ヒューマン(人間の考え方、行動)、ソーシャル(情報の共有と活用)の5本の柱と土壌としての安全文化によって支えられる。
ハード、ソフト、ソシャルは向上、改善されているが、ヒューマンの本質は変わっていない。安全管理の最大の課題はヒューマンファクター、ヒューマンエラー対策である。
トラブル、事故、インシデントの要因の多くは、誰でもできる基本・確認行為からの逸脱である。安全管理の要諦は「愚直なまでに基本・確認の徹底である」
基本・確認行為の徹底5か条は基本・確認行為が抜けた場合のコワサを知る教える
基本(規定類・手順)は「なぜ?」考えさせて気付かせ、納得させる。上司・先輩自身が基本・確認を徹底する。当たり前のこと、基本・確認行為を徹底している部下や後輩を褒めて評価する。指示は「早くやりなさい」ではなく「確実にやりなさい」
【ヒューマンエラー対策】
今、なぜヒューマンエラー対策なのか。業種・職種に関わらずトラブル・事故や労働災害の要因の80%またはそれ以上に人的要因が関わっている(不具合事象の80%以上が人的要因)。人的要因のうちの80%前後がヒューマンエラーが関与している。安全確保(の最大の課題はヒューマンエラー対策である。
ヒューマンエラー対策を考えるうえで人間のも特性と人間を取り巻く様々な環境との関係を考慮し、責任追及型から原因、背景追求型の対策が大切である。
ヒューマンエラー対策の要因には、人的要因、機材要因、環境要因、管理要因がある。この要因について対策を実施することがヒューマンエラーによるトラブル、事故、インシデントの予防に寄与する。
人的要因には、知識・技量要因(教育・訓練、経験)、生理的要因(睡眠不足、疲労、疾病、加齢等)、心理的要因( 心配事を抱えている・パニック・焦り・急ぎ症候群)、対人的要因(チームワーク・コミュニケーション不具合)、人間の特性(思い込み・錯覚・勘違い・近道本能)がある。
知識・技量要因の教育・訓練、経験に次のようなものがある。
OJT (On the Job Training)
(日常業務を通じて学ぶ)
Off-JT (Off Job Training)
(研修など業務を離れて学ぶ)
TT (Technical Training)
(専門分野の教育・訓練)
SD (Self Development Will)
(自己啓発・向上意欲・プロ意識)
3本は組織の問題であるが、組織が施す教育・訓練の成果が上がるのは、4番目のSD、各個人の意欲が大きく影響する。
人間は習慣の動物である。良い習慣は意識して習慣化しないとなかなか習慣として身に付かない。悪い習慣は無意識に身に付いてしまう。ヒューマンエラーを防ぐには、意識して良い習慣を身に付けることが大切である。
【ノンテクニカルスキル】
安全で質の高い業務は専門分野のテクニカルスキルと業種・職種に拘わらず普遍的なノンテクニカルスキルの両輪で支えられる。ノンテク二カルスキルは心の豊かさでもあり、EQと関係が深い。日常生活でもいくらでも、何歳になってもその気になれば向上させることができる。
ノンテク二スキルの主な要素には次にようなものがある。
チームワーク(何でも物が言える雰囲気)、リーダーシップ、仕事の配分(ワークロード配分)、ストレスマネジメント、状況認識、問題解決(意志決定)、コミュニケーション。
ノンテクニカルスキルを発揮するためには、特にコミュニケーションが重要な役割をもっている。コミュニケーションは人体組織に流れている血液の流れに相当するくらい大事な要素である。
【集中術】
人間の能力にはそれほど差はないが、同じ仕事をしても大きな差が生じるのは集中力の差による。
今の時代は集中力を阻害する要因がいっぱいある。集中力を発揮しようとするなら、まずその阻害要因を一旦横に置くか、排除すること。つまり今の時代は集中力とは「捨てる技術」だとも言える。
集中力を発揮する方法、鍛えるには「捨てる技術」の他に以下のような方法がある。
(1)明確な目的意識を持つ
(2)Now! Here! 今、ここに集中する習慣を付ける
(3)時間に意味を持たせる
(4)逆算のタイムマネジメントを実施する
(5)物事に優先順位をつけて行動する
(6)やるべく対象に興味を持つ、好きになる
(7)ONとOFFの切り替えをする
(8)不平・不満ではなく感謝する
【健康管理術】
【高度一万メートルから見た地球環境】
高度一万メートルから地球を見続けてきて地球から教えられたこと
かけがえのない地球の美しさ
かけがえのないという言葉の大切さ
地球は丸い、それほど大きくはない
地球はまだ若い、活動的である
近年の急速な温暖化による地球の姿の変貌
温暖化による気候変動
地球は必死になってバランスをとろうとする
人間が傲慢なことをしなかったら地球には回復力がある
操縦席から地球を眺めているホッと浮かんでくる言葉は“The Only One Earth”
“The Only One Life”であった。みんなが「かけがえのない」という言葉を大切にすれば、世の中で起こっている事件や痛ましいことなど起こらないはず。
2000年前後から地球温暖化による地球に姿の変貌、気候変動には驚くばかりである。
人類にとっても、地球にとっても温室効果の削減は急務である。しかし、温室効果ガスは地球にとってなくてはならないものでもある。もし、温室効果ガスがゼロになったら地球の平均温度はマイナス何十度にもなり、私たちは生きていけないことになる。要はその量である。現在はその量は急激に増えてしまっているのである。
【働き方改革とリーダーの危機管理】
著書
『機長の「集中術」』(CCCメディアハウス)
『機長の「健康術」』(CCCメディアハウス)
『JAL最後のサムライ機長』(ポプラ社)
『航空安全とパイロットの危機管理』(成山堂書店)
『ザ・グレート・フライト JALを飛んだ42年~太陽は西からも昇る』(講談社)
『OODA 危機管理と効率・達成を叶えるマネジメント』(徳間書店 2020)
その他
<主な雑誌・新聞連載>
中日新聞:東京新聞の夕刊のコラム「紙つぶて」(平成23年7月~12月担当)
雑誌:「近代セールス」で「グレートキャプテンの危機管理術」(平成23年4月~平成25年3月連載)
雑誌:「エコノミスト」で「切り撮った地球高度一万メートルから見た美と変化」(平成20年7月~平成21年4月)
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