花木 啓祐
東京大学名誉教授
講師カテゴリー
- 政治・経済
- 地方創生・地域活性
- DX・AI・IoT・IT・5G・ビッグデータ
- DX・AI・IoT・IT・5G・ビッグデータ
- 環境・防災・防犯
- 環境問題
出身地・ゆかりの地
東京都 兵庫県 タイ
プロフィール
都市および地球環境工学の専門家。1952年3月神戸市生まれ。東京大学工学部都市工学科を卒業後、大学院に進み1980年3月工学博士取得。東北大学勤務を経て、1983年4月東京大学工学部都市工学科助教授、1993年東京大学先端科学技術研究センター教授、1998年から2017年3月まで東京大学大学院工学系研究科教授。この間、都市と地球の環境工学を専門とし、気候変動(地球温暖化)問題に1980年代の終わりに環境工学分野でいち早く取り組み、「地球環境工学」の講義を東大工学部で初めて開始した。国際的には気候変動に関する政府間パネル(IPCC)に早い段階から参加し、IPCCの報告書作成に貢献した。さまざまな人間活動を通じたCO2などの温室効果ガスの排出と削減の対策、持続可能な都市をどう作るか、ヒートアイランド問題など、研究分野は多岐にわたり、40名以上の学生の博士号取得を主査として指導した。東京大学在職中の1985-87年にはタイ・バンコクのアジア工科大学院に日本政府から派遣され、英語による環境工学の教育と研究を行い、途上国の環境問題の課題を追究した。
東洋大学情報連携学部(INIAD)の創設に尽力し、2017年4月の創設と同時に教授に就任してから2024年3月に定年退職するまでの間、情報通信技術を活用したDX社会が環境と暮らしに与える効果に関して教育と研究を進めた。
これまでに都市環境工学に関して書籍68編、査読付き論文240編を出版し、学会発表366件、講演およびパネルディスカッションは249件(2024年3月現在、共著含む)である。環境科学会元会長・現名誉会員、日本水環境学会元会長・現名誉会員、土木学会元理事・現名誉会員であり、2014-17年にかけて日本学術会議の国際担当副会長としてわが国を代表して国際的な学術交流を推進した。
講演テーマ
【DXが築く安全安心な脱炭素社会】
DXは企業の業務のあり方を大きく変えるだけでなく、人びとの暮らしと社会をも大きく変える可能性を持っています。テレワークによるワークライフバランスの改善とそれがもたらす柔軟なライフプラン、リアルタイムの情報に基づく豪雨災害に対する高度な備え、遠隔医療や遠隔教育による医療や教育の充実を可能にします。実質的なCO2排出をゼロにする脱炭素社会は、活動せず、じっとしている社会ではありません。DXによって移動、エネルギー、モノの消費が減ることは前向きな形でCO2排出を大きく削減する可能性を持っていますし、それを実行しなければカーボンニュートラル社会は実現しません。これら、前向きの社会の変革についてお話しいたします。
【情報通信技術で資源循環型の社会をつくる】
情報通信技術(ICT)は単に便利でタイムパフォーマンスが高い暮らしを作るだけではなく、資源循環の面でも大きい意味があります。循環型社会を創るためにリサイクルをしたり、レジ袋の使用を減らしたりしていますが、ICTをうまく使えば資源消費量と廃棄物を大きく減らすことができます。消費期限がある食品販売のスマートな管理によるフードロスの削減、自動車、自転車、更には服のシェアリングによって眠っているモノを有効に使えます。更に効果が大きいのは、電子書籍のように、モノを使わずにサービスに置き換えることです。どのような効果がICTでもたらされるのか、問題点は何なのか、ということについてお話しいたします。
【災害としての地球温暖化に地域はどう向き合うか】
地球温暖化による影響はもう起きています。巨大な台風やこれまでに経験のないような大雨が実際に発生し、かつてない猛暑が長期間続く夏が現実に日本各地を襲っています。農業への影響、夏の学校行事とスポーツへの影響も出ていて、もはや災害です。地球温暖化の防止対策と影響への対策には大きく異なる点があります。防止対策、すなわちCO2排出削減は日本全体で対策を導入したり高度が技術を開発したりするのに対して、影響への対策は各地域の問題で、そこで解決策を考えて実行しなければならないのです。それぞれの地域での主たる産業、農作物の種類、人口分布などによって取るべき対策が異なります。地域ごとにどのようなことを考えていかなければならないのか、それをお話ししたいと思います。
【ICTを用いてバーチャルコンパクトシティをつくる】
東京以外のほとんどの地域では人口が減少しつつあります。人口をまちの中心に集中させるコンパクトシティが日本の持続可能な都市構造として提案され、それを「誘導する」ための法律の整備がされてから何年も経っていますが、一向にコンパクト化は進みません。実現のためには現在郊外に住んでいる人びとが町の中心地域に引っ越さなければならず、金銭的な面でそのハードルが非常に高いのが大きい理由です。コンパクトシティの大きな目的は、徒歩や自転車で買い物ができたり病院に行けるという利便性の向上と自動車で移動しない事によるCO2の削減です。物理的にそれができなくても情報通信技術を通じてその利便性を達成し、CO2排出削減を行えば良い、というのが「バーチャル」コンパクトシティの考え方です。この考え方の実現についてお話ししたいと思います。
実績
書籍68編、査読付き論文240編を出版し、学会発表366件、講演およびパネルディスカッションは249件(2024年3月現在、共著含む)
講演の特徴
図表だけでなく、文章の説明にもスライドを使い、具体的な内容にします。講演会に参加いただく方の関心を事前に把握することに努め、それによって重点の置き方を変えます。
著書
花木啓祐 (2004): 『都市環境論』, 岩波書店, 209 pp..
花木啓祐 (2013): 第7,8章「脱温暖化社会」 in 『新訂 環境工学』, 岡田光正編, 放送大学教育振興会, 117-154.
花木啓祐 (2020): 情報通信技術を生かした暮らしと都市のかたち in 『持続可能な社会への道――環境科学から目指すゴール』, 大政謙次,阿尻雅文,北川尚美,青野光子, 日本学術協力財団, 213-232.
花木啓祐 (2023): 工業環境技術, 花木啓祐監修, 実教出版 .
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